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■Leaky Dinghy Tavern
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Leaky Dinghy Tavernは一風変わった酒場だ。とは言え、他で味わえないような美酒が飲めるだとか、珍しい出し物が見られるだとか、そう言った意味ではない。そういう点においては、なんら他と変わらりない、平凡な酒場だといえるだろう。しかし、他の酒場との決定的な違いは、その立地にある。建造物として、他では見られない場所に建てられているのだ。港の桟橋から、海上に高く長く据え付けられた階段を登っていくと、Leaky Dinghy Tavernがある。そして、そこにはあるべきはずの、店と床を支える柱が存在しない。魔力によって、海面高く浮かんでいるのである。
当たり前のことだが、常連客の大部分は船乗りたちだ。しかし、店内を見回すと、釣りや航海とは無縁と見える、無骨な輩も数多いことに気づくだろう。腰や背中に物騒な得物を吊り下げた、一癖ありそうなこういった連中の存在が、いかにもここは"Stormreach"なのだということを証明している。
富と名声を手にした英雄たちの冒険譚。そして、そうなれなかった者たちの、数え切れないほどの絶望と苦痛で彩られた街、"Stormreach"。後に語り継がれる英雄を夢見る冒険者たちは、今宵もひとときの休息を求め、またある者は成功への糸口を探り当てようと、酒場へと集まってくる。その多くは、天寿を全うすることを許されず、愚かなる道化として、このEberronという舞台から姿を消していく。それでも彼らは演じることを、止めようとはしない。それが愚かな蛮勇と笑われるのか、それとも偉大なる勇気と称えられるのか、すべては彼らの成し遂げた成果によるのであろう。

海に浮かぶ酒場"Leaky Dinghy Tavern"
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■3人の冒険者
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Stormreachでハーフリングは特に珍しくもない。しかし、それが3人が3人ともハーフリングという一行であれば、話は別である。Leaky Dinghy Tavernを訪れた3人のハーフリングたちは、少なからず、周囲からの注目を集めているようであった。
魔術的な印を施したローブに身を包んだハーフリングは、気を引くものを見つけては熱心に観察し、嬉々として何事かをノートに書き綴っている。Zylmethと名乗るこのハーフリングは、正真正銘、本物のウィザードである。ハーフリングの魔法使いなど、めったに見られるものではない。自然、好奇の目で見られることも多いが、この魔法使いはそれを嫌がるどころか楽しんでいる節さえある。
好奇心旺盛にあちこち見て回るZylmethを、半ば呆れ顔で見守っているのが、Llew。二本の剣をベルトに吊り下げ、背中にはレンジャー特有の意匠を凝らした大きな弓を背負っている。どの武具も使い込まれてはいるものの、よく手入れされ、身のこなしにも無駄がない。熟練した冒険者なら、彼がかなりの使い手であることがわかるだろう。
小さな体に不釣合いな、重い金属製の鎧を身につけているのは、Pericという名のハーフリングである。裕福ではなかったものの、信心深い両親のもとで育った彼は、僧侶としての修行を受けていた。そして、幼馴染のLlewの説得により、このStormreachへ冒険者の一人としてやってきたのだ。自由奔放で何をやっても器用なLlewと、生真面目で不器用なPeric。一見気の合いそうにないこの二人は、小さいころからなぜか馬が合った。
小さい頃、川で溺れて以来、Pericは水が大の苦手である。Llewはそんな彼をからかい、昔から"船長"というあだ名で呼んでいる。そういうわけで、海に浮かぶこの酒場は"船長"にとって、決して居心地のいい場所とは言えなかった。気を紛らわせようと「飲み物を頼んできます」と言い残したPericは、カウンターへと歩いていった。
カウンターのそばには、少し酔ったエルフの女性が立っていた。Leaky Dinghy Tavernの扉をハーフリングたち開いた時から、この一行に興味を持っていた彼女は、近づいてくるPericを認めると、じろじろと珍しそうに検分しているようである。気づかない振りをして、通り過ぎようとしたPericだったが、エルフのほうから声をかけてきた。
「Stormreachで成功したいの?おちびさん」
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■Mistress Ahura
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Ahura婦人は珍しそうにPericを見つめながら、言葉を続けた。
「この街で成功する方法はたくさんあるわ、ええ。でもね、そのほとんどがあなたたちを破滅へ導くわ。決して自分の力以上のことを望んではいけない。あなたたちを見てると、昔Butcher's Pathに潜った若い剣士を思い出すの。」
酔ったエルフの突然の言葉に、少し面食らったPericは、思わず言葉に詰まりながら、聞き返した。
「ほ、ほほう、そうですか。その若い剣士とやらも、我々と同じ冒険者だったのでしょうね。ところで、そのButcher's Pathというのは初耳ですね。」
さして、興味があるわけではなく、社交的に聞き返しただけであったが、彼女はそんなPericの様子にはお構いなしに話を続けた。
「Butcher's Pathは、この街の下水にある邪悪な生き物の巣窟よ。昔、衛兵たちが入り口をふさごうとしたこともあったけど、毒が充満した通路に、すべてを焼き尽くす魔法の炎・・・。すべての努力が無駄に終わったわ。功名心に逸った愚かな冒険者たちも潜ったけれど、二度と戻らなかったわ。そして、おちびさん・・・、多分あなたたちにも無理でしょうね。」
このエルフが繰り返す"おちびさん"という言葉が気に障ったPericは、思わず言い返してしまった。
「それはどうでしょうね、ご婦人。貴方が思っておられるほど、我々は非力ではないですよ。そのBucther's Pathとやらの場所を教えていただけるのなら、それを証明してご覧に入れましょうか?」
そう言い終えた瞬間、Pericは後悔していた。酔ったエルフの戯言に心乱されるなど、まだまだ僧侶としての修行が足りない証拠だと思ったのである。
「すぐ近くにButcher's Pathに続く下水路があるわ。でもそこは、怪物と害虫で溢れているの。そう、あなたたちには危険過ぎるところね。悪い事は言わない、もっと経験をつんで、いい武具を揃えてから望んだ方がいいと思うわ。それがあたしからの忠告よ。」
口ではそう言うものの、Ahura婦人は明らかに興味をそそられたらしく、瞳が輝いている。
そして、もう一人目を輝かせる者がいた。先ほどまで、店の中を歩き回っていたZylmethが、いつの間にかPericの背後で話を聞いていたのである。
「ふふふ、聞きましたよ、Peric。まさか、もう行かないなんて言わせませんからね。」
再びPericは後悔した。

Mistress Ahura
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■Bucther's Path
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Butcher's Pathでの戦闘は熾烈を極めた。Llewが先行し、飛び道具で怪物達をせまい場所におびき寄せる。おびき出した敵を、遠くから魔法と弓で弱体化させてから、白兵戦を挑む、というのが彼らの得意な戦術である。多少の戦力差であれば、それでうまく切り抜けてきた。しかし、今回はあまりにも敵の数が多い。ZylmethとPericの魔力はほぼ尽き、Llewの二刀にこびり付いたコボルトたちの血と肉片は、確実にその切れ味を鈍らせていった。

Butcher's Pathで繰り広げられる激戦
100匹近い怪物を倒した一行は、水路の最深部らしき場所へ辿り着いた。この水路には、コボルトたちの集落が点在していたが、規模と造りから言って、おそらくここが最後であろう。そうLlewは当たりをつけていた。
早速、Llewが闇に潜み偵察に赴く。それによると、1匹のTroglodyteが潜んでいるらしい。いままでの乱戦に比べると、たかだか1匹である。いまさら引き返そうなどと言い出す者はいなかった。それを倒せば、ほぼBucther's Pathを一掃したことになるだろう。
まず、Llewが部屋に斬り込んだ。Llewが注意をひきつけ、遅れて入ってくるZylmethとPericは魔法に集中し、援護する作戦である。しかし、Troglodyteは鮮やかな二刀流から繰り出される剣戟をかわしたかと思うと、遅れて飛び込んできた2人のハーフリングに向かって、呪文の詠唱を始めた。
次の瞬間、燃え盛る火の玉が、暗い水路を駆け抜けた。
「ファイア・ボール!?」
とっさに何が起きたのか悟ったZylmethが叫ぶ。多くの修練を重ねたウィザードだけがが唱えられる、高度にして残酷な攻撃呪文である。
しかし、もう遅かった。2人のハーフリングの間で破裂した炎は、一面を焼き尽くした。すでに傷を負っていた2人は、一撃で気を失った。薄れていく意識の中で、Pericは次の炎でLlewが包まれるのを見た。

Challenge Rating6の強敵"Warlock Syressy"
気がつけば、彼らは寺院で手当てを受けていた。意識を失って倒れていた彼らを、後から続いた衛兵たちが発見し、ここに運ばれたのである。衛兵たちが到着したころには、Troglodyteのウィザードはもうおらず、姿をくらました後だったと言う。
絶望的な状況で、なんとか命をつなぎとめた3人のハーフリングたち。ハーフリングには、特別な幸運が訪れると言うのは、案外嘘ではないのかもしれない。3人の冒険はまだ始ったばかりだ。

左から、Peric、Llew、Zylmeth
長文、頑張った! 感動した!
しかしあまりにも労力かかってそうな大作すぎて、
次話がいつになるのか不安で仕方がないよ。
次回DDO冒険記2「船長、夕闇に死す」、お楽しみにネ。