■旅の始まり

 管理事務所(ここは沿岸警備隊もかねているそうだ)を後にした私は、預かった荷物と命令書をもう一度確認した。命令書は皇帝の私設秘書によって、書かれたもののようだ。

 それによると、Balmoreという街に住む“Caius Cosades”という男が、今後私のボスであり、後見人になるとのことだ。しかも、正確な所在はわからないので、自分で探せとのこと。あまりにも一方的な話だ。しかし、見知らぬ土地に投げ出され、あてもない以上、さしあたってそれに従ったほうが賢そうだ。預かった荷物のほうは厳重に封印が施されてあって、もし開けたのがひどい目にあわせる、みたいな脅し文句も書かれてあった。

 少しではあるが、路銀も持たされた。とりあえずこの金で、旅支度を整えるにしよう。

 事務所を出て一番最初に出会った街の住人に、適当な店がないかたずねてみた。見た目ひ弱そうなウッド・エルフは“Fargoth”と名乗った。こちらが聞いてもいない身の上話をはじめるFargoth。話によると、彼はしょっちゅう帝国兵士にゆすられているらしい。そして、大切にしていた魔法の指輪“Engraved Ring of Healing”を、兵士の一人に奪われてしまったそうだ。と、覚えがあるな・・・。事務所の中庭で見つけた、あの指輪だ。ううむ、何かあった時のために、持っておきたいのはやまやまだが、やはり、ここは返すべきだろう。

 

 指輪が手元に戻ったFargothは、大喜びで私にお礼を言った。そして、この街で唯一の商人Arrlleに、私のことを紹介してくれるそうだ。

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※NPCには“好感度”というパラメーターがあり、そのNPCと話すと会話ウィンドウにグラフで表示される。0〜100までの数字で表され、100が一番友好的な状態である。このパラメーターは、プレイヤー・キャラの所属する組織、今までの行動や、クエストの結果、Skillでの説得・交渉などで変化する。この場合だと、街唯一の商人の好感度も上がり、より良心的な価格での取引が可能となる・・・はずである。
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 さてArrlleの店に行き、自分に合った装備を物色してみた。しかし、渡された金だけでは、とても揃いそうにない。Balmoreに行く前に、一仕事する必要がありそうだ。

 街の住人に話を聞くと、この辺には悪質な密輸商人が住み着いているらしい。今まで傭兵として暮らしてきた私にとって、この手の話はいい飯の種である。話を頼りに、彼らのねぐらである“Addamasartus”洞窟へと向かった。

■密輸商人

 この地方の移動手段のひとつである“Silt Strider”乗り場を越えて、あたりを捜索していると、小高い丘にうがたれた穴ぐらを見つけた。木製の丈夫そうな扉は、近づかなければ見通せないようなところに取り付けられている。ここに間違いないようだ。ここしばらく続いた囚人生活のおかげで、体はすっかりなまってしまっている。気を引き締めていくとしよう。

 
 ”Slit Strider”見た目はでっかいノミ・・・。背中に空洞があって、そこに荷物をいれたり、人を乗せて運ぶらしい。


 少し緊張しながら、扉を開く。右手には、唯一の武器である短剣を握り締めている。薄暗い洞窟の中にはいると、入り口から続くスロープを下ったところで、焚き火が炊かれていた。少し先に進もうと歩きだした矢先、中から武器を振り上げたダーク・エルフが襲いかかってきた。次々と振り下ろされる短剣は、あきらかに私の急所を狙い、命を奪おうとしている。冗談ではない、こんなところで死ぬわけにはいかない。本気で応戦しなければならないようだ。

 

 何合か剣を交えた末、ダーク・エルフを打ち倒した。持ち物を探ってみると、何かの鍵を持っていた。いただいておくことにしよう。

 さらに奥へ進むと道はふたつにわかれ、左の上のほうに柵のようなものが見える。柵のほうへ向かってみると、そこにはArgonian(トカゲのような容姿を持った亜人種)、Khajiit(猫のような容姿を持つ亜人種)が手かせをはめられ捕らえられていた。奴隷の売買も行っていたようだ。試しに先ほど手に入れた鍵を、手かせの鍵穴にはめてみる。ピッタリあうようだ。

 

 奴隷たちは自分たちの解放を期待して、私を見つめていたが、突然顔が恐怖で凍りついた。異変を悟った私は、次の瞬間背中に激痛を感じた。しまった、近くにまだ潜んでいたのか。痛みに耐えながら、振り向くとローブに身を包んだ、魔術師とおぼしき男が詠唱を始めていた。すかさず私も剣を取り、魔術師に組み付いた。おびえた目で見守る奴隷たちは、恐怖で立ち去ることもままならないようだ。なんとか、魔術師にとどめを刺した私は、奴隷たちの手かせをはずし、君たちは自由だと告げた。

 元奴隷たちと別れた私は、さらに奥でもう一人の密輸商人を倒し、洞窟の中を見て回ったが、荷物の大半が麻薬のようだ。とりあえず、めぼしいものを物色して、いただいておいた。背に腹は変えられない。傭兵稼業なんて、所詮こんなものだ。

 
 これで、旅に出る装備は整った!